日本臨床麻酔学会誌
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脊椎麻酔下における帝王切開術中の内臓痛
テトラカイン投与量による発生率の相違
里 康光一瀬 広道塚窪 俊裕田中 啓子並木 昭義
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1992 年 12 巻 7 号 p. 721-725

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抄録
脊椎麻酔で帝王切開術を受ける患者29名を対象に,テトラカインをA群(n=15)では8mg,B群(n=14)では12~12.5mg投与し,術中の内臓痛の発生率に差があるかどうか二重盲検法にて比較検討した.最高無痛域はA群でTh3.5±0.1,B群でTh3.4±0.2と両群間に有意差はなかったが,術中に痛みを訴えたのはA群15例中12例(80%),B群14例中5例(36%)で,visual analogue scale scoreはそれぞれ4.1±0.7, 1.5±0.7で有意差を認めた.テトラカイン8mg投与では,内臓痛を伝えるC線維の遮断が不十分であり,テトラカインの量を12~12.5mgに増やすことによりC線維を遮断できる濃度のテトラカインが頭側領域にまで広がったのではないかと考えられた.
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