日本臨床麻酔学会誌
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全身麻酔後に生じた耳下腺炎の1例
中江 裕里高橋 俊彦宮部 雅幸並木 昭義
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1993 年 13 巻 2 号 p. 189-192

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抄録

軽度の耳下腺腫脹と著明な血清アミラーゼ値の上昇により術後耳下腺炎と診断された症例を経験した.耳下腺の腫脹は手術後1日目から6日間持続したが,炎症症状を欠き,局部の冷却湿布と通常の上腹部手術術後管理に準じた抗生剤および輸液管理により軽快した.耳下腺腫脹の原因としては手術中のバツキングによる腹圧上昇,気管内チューブによる咽頭反射の亢進による唾液腺の静脈うっ血に起因する耳下腺管の閉塞が考えられた.術後耳下腺炎はまれな合併症であるが,日常の麻酔管理における操作が原因となりうることを常に銘記すべきと思われた.

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