日本臨床麻酔学会誌
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先天性α2-plasmin inhibitor欠乏症の麻酔管理
山田 真理川口 昌彦古家 仁奥田 孝雄田中 妥永子高橋 幸博吉岡 章福井 弘宮内 義純
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1993 年 13 巻 6 号 p. 576-580

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抄録
先天性α2-plasmin inhibitor (α2-PI)欠乏症患者(15歳,女性)の左大腿骨骨髄内血腫掻把術に対する麻酔管理を経験した.手術は気管内挿管による吸入麻酔(酸素,笑気,エンフルレン)下に行なわれ,術中の止血管理には抗線溶剤トラネキサム酸を用いた.術前,術中,術後を通じてトラネキサム酸の投与により,ユーグロブリン溶解時間,ウロキナーゼ添加フィブリン塊溶解時間,フィブリノゲン量,FDPは,全経過を通じて正常範囲内に維持され,異常出血は認められなかった.本症の術中止血管理にトラネキサム酸は有効,有用であった.本論文は先天性α2-PI欠乏症の麻酔管理としては世界初の報告である.
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