日本臨床麻酔学会誌
Online ISSN : 1349-9149
Print ISSN : 0285-4945
ISSN-L : 0285-4945
13 巻, 6 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • Alan F. Ross
    1993 年 13 巻 6 号 p. 483-503
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
  • 平川 方久
    1993 年 13 巻 6 号 p. 504-514
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
  • 吉田 仁, 木村 健一, 高折 益彦
    1993 年 13 巻 6 号 p. 515-523
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    収縮期血圧が150mmHg以上に上昇した全身麻酔症例にジルチアゼムを投与した際の循環動態の変化,刺激伝導障害発生の有無,およびジルチアゼムの血中濃度の変化について検討した.症例は投与量により10mg bolus投与後2.5μg・kg-1・min-1持続投与のL群,bolus投与後5μg・kg-1・min-1持続投与のM群,bolus投与後10μg・kg-1・min-1持続投与のH群,の3群,各7例とした.ジルチアゼム投与により平均動脈圧は3群ともに低下したが3群間に差を認めなかった.刺激伝導障害はH群の3例に発生し,その際のジルチアゼム血中濃度はいずれも400ng・ml-1以上であった.伝導障害は硫酸アトロピン投与により軽快した.術中の高血圧に対してジルチアゼム10mg bolus投与後5μg・kg-1・min-1で持続投与を行なえば,頻脈を抑制するとともに有効な降圧が得られることが認められた.その際のジルチアゼム血中濃度は約200ng・ml-1に維持され,刺激伝導障害も生じず安全に使用できた.
  • 心房細動の心拍変動はカオスか?
    藤里 正視, 稲葉 英夫, 水口 公信
    1993 年 13 巻 6 号 p. 524-531
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    生体における不規則現象の一例である心房細動の心電図R-R間隔の変動がカオスであるかないかを,フラクタル次元解析と最大リアプノフ指数の算出および周波数解析により検討した.フラクタル次元は飽和せずに発散する傾向を示し,また最大リアプノブ指数は0に集束したことからこの変動はカオスではないと考えられた.一方,周波数解析の結果は,この変動がホワイトノイズに近いことを示した.したがって,Afの心電図R-R間隔変動はノイズに近いほぼランダムな変動であると考えられた.大量フェンタニール麻酔はこの結果に影響を与えなかった.
  • 藤林 哲男, 川上 浩文, 原田 純, 高橋 光太郎, 後藤 幸生
    1993 年 13 巻 6 号 p. 532-536
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    要旨新しい呼吸回路,トピースを考案し,モデル肺およびTピース施行中の9例に用い,モデル肺内のガス分析および動脈血ガスをTピース施行中のものと比較検討した.
    モデル肺を用いた実験では,Tピースに比しトピースでモデル肺内の酸素濃度は高く,笑気(炭酸ガスの代わり)濃度は低かった.臨床例では,意識障害患者6例すべてで,呼吸状態に変化がみられず,トピースに切り替えることによりPaO2が増加しPaCO2が低下した.
    以上よりトピースは,呼吸状態の変化しない条件下でPaO2増加とPaCO2低下が期待でき,人工呼吸器を用いずにPaCO2を低下させたい場合や,呼吸器からのweaningの新しい方法になるものと考えた.
  • 中保 利通, 佐藤 港, 漆山 浩光, 江島 豊, 皆瀬 敦, 筆田 廣登, 塩澤 茂
    1993 年 13 巻 6 号 p. 537-542
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    モルヒネ1.5~2.5mgを手術中に硬膜外注入し,術後にディスポーザブル携帯式持続注入器(DIB)を用いてモルヒネ10mg+0.125%ブビバカイン混合液計40mlを48時間かけ硬膜外投与した.麻酔終了時から初めて鎮痛剤を使用した時刻までの平均時間は30.4±20.5時間で,術後48時間鎮痛処置不要であった症例は124名中53%であった.これはモルヒネ2.0~2.5mgを術中に投与しただけの対照群25例と比べ,有意に良好な結果であった.また,術後の患者評価では72%が全然あるいはあまり痛くなかったと述べ,きわめて満足度が高かった.副作用として,嘔気(19%),掻痒感(15%)などがみられ,呼吸抑制は6.5%あったが,人工呼吸を必要としたものはなかった.
  • 東 俊晴, 前川 隆英, 向田 圭子, 中尾 三和子, 森脇 克行, 弓削 孟文
    1993 年 13 巻 6 号 p. 543-547
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    持続硬膜外麻酔を併用して全身麻酔下に上腹部手術を受けた10例の成人を対象とし,Grassi背板を使用した体位変換(仰臥位から背屈位)に伴う循環動態の変化を検討した.仰臥位から後屈位への体位変換時には,有意な血圧,心拍出量,肺動脈楔入圧,1回拍出係数の減少がみられた.一方,体末梢血管抵抗,心拍数には有意な変化は認められなかった.この循環動態の変化の原因として,体位変換に伴う静脈還流の減少と,麻酔薬による循環反射の抑制が示唆された.Grassi背板を使用した後屈位への体位変換時には,著明な血圧低下や心拍出量減少が生じるため,注意深い循環管理が必要であると考える.
  • 山蔭 道明, 吉田 泉, 川股 知之, 山内 正憲, 並木 昭義
    1993 年 13 巻 6 号 p. 548-554
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    Burn Indexが30以上の重度熱傷患者5名,計26回の手術症例において,体温低下の原因となる諸因子について検討した.麻酔導入時の体温と手術室退室時の体温との差を「体温変化(°C)」とした.体温変化と,Burn Index,麻酔時間,手術時間,出血量,輸血量,および手術時の露出体表面積との間には有意な相関関係を認めなかった.麻酔法に関しては,体温変化は笑気・酸素+ケタミン・ミダゾラム群(GO+KM群;n=16)で-0.80±0.30(平均±標準偏差)°C,笑気・酸素・イソフルレン群(GOI群;n=10)で-1.48±0.58°CでありGOI群がGO+KM群に比較して有意に低かった(P<0.01).体位に関しては,体温変化は仰臥位群(n=12)で-0.08±0.34°,腹臥位群(n=14)で-1.91±0.31°であり,腹臥位群が仰臥位群に比較して有意に低かった(P<0.005).重度熱傷患者の体温管理には,吸入麻酔薬よりもケタミンを併用した麻酔法が適切であり,さらに腹臥位手術の場合,手術開始までの時間をできるだけ短くするとともに,さらに積極的な加温方法の追加が必要である.
  • 嶋 武, 秋山 恵子, 百瀬 清志, 芳賀 忍, 橋本 保彦
    1993 年 13 巻 6 号 p. 555-558
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    大量出血が予想される股関節手術症例43例を対象とし,2%静注用リドカインで溶解した0.1mgエピネフリン加0.4%テトラカイン3mlをL2-3よりクモ膜下腔に投与し,必要に応じT12-L1に挿入された硬膜外カテーテルより2%リドカイン6mlを追加投与し,ミダゾラム10mg筋注により催眠を得た.プロスタグランジンE1(PGE1)33ng/kg/分を静脈内投与し,収縮期血圧90mmHg以下とした群と脊椎麻酔下でPGE1非投与でも同様の血圧を維持できた群に分けて術後GOT, GPTの変動を比較した.PGE1投与群ではGOTとGPT値は有意の変化はみられなかったが,PGE1非投与群では両者とも上昇した.
  • 益田 裕朗, 北脇 文雄, 高津 徹, 柳川 泰彦, 神田 隆善, 石部 裕一
    1993 年 13 巻 6 号 p. 559-562
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    術前に右心不全の症状と思われる呼吸困難症状をもつ28歳の妊娠34週の患者が,帝王切開分娩を目的に入院した.妊娠中毒症は伴わなかったが,この患者は,先天性右肺動脈欠損症があり,分娩による静脈還流の増加がさらに右心不全症状を増悪させる可能性が危惧されたので,スワンーガンツカテーテルで肺動脈圧をモニターしながら,脊椎麻酔下に腹式帝王切開分娩を施行した.肺動脈圧は脊椎麻酔で低下し,分娩直後急激に上昇した.しかし,最高上昇時にも脊椎麻酔施行前値を上回るに至らなかった.本症例では脊椎麻酔による前負荷の軽減が分娩時の肺動脈圧の上昇に対して,予防的に作用したと考えられた.
  • 木下 幸大, 井上 道夫, 本間 豊彦, 遠藤 三樹男, 三宅 有, 佐藤 和彦
    1993 年 13 巻 6 号 p. 563-569
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    新鮮な帯状疱疹患者30名に対し,硬膜外カテーテルを留置,ブピバカイン,ブプレノルフィン投与にディスポーザブル持続注入器DIB drug infusion ballooncatheter(ディヴインターナショナル社製)の充填量40ml/24時間仕様(EH 40-24hr)を持続注入用,充填量20ml/2時間仕様(E-20-2hr)をdemand用とし,三方活栓にて接続組み合わせた簡易PCAシステムを考案し疼痛の対処を試みた.ディスポーザブル持続注入器は注入速度,注入量が経時的に減少する欠点を有するが,30名中20名は持続注入のみでも疼痛管理可能であった.他の10名もdemandを併用することによりcontrolは容易で入院時のVAS7.8±0.7は退院時0.3±0.54と改善した.
  • 野村 直人, 世良田 和幸, 森本 冬樹, 鈴木 結実人, 出原 郁, 外丸 輝明
    1993 年 13 巻 6 号 p. 570-575
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    当院において下腹部手術後,下肢の麻痺およびしびれ感を伴った症例を検索し,原因の究明できた症例について検討および考察を行なった.今回検討した症例は,開創器による神経圧迫が原因であった.下腹部手術後下肢麻痺が起こる原因としては,手術操作,麻酔自体,体位,患者側の素因などが考えられる.術前神経学的異常のない症例については,術後下肢麻痺の原因として,麻酔自体,体位,が考えられることが多いが,手術操作によるものも考えなければならない.
  • 山田 真理, 川口 昌彦, 古家 仁, 奥田 孝雄, 田中 妥永子, 高橋 幸博, 吉岡 章, 福井 弘, 宮内 義純
    1993 年 13 巻 6 号 p. 576-580
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    先天性α2-plasmin inhibitor (α2-PI)欠乏症患者(15歳,女性)の左大腿骨骨髄内血腫掻把術に対する麻酔管理を経験した.手術は気管内挿管による吸入麻酔(酸素,笑気,エンフルレン)下に行なわれ,術中の止血管理には抗線溶剤トラネキサム酸を用いた.術前,術中,術後を通じてトラネキサム酸の投与により,ユーグロブリン溶解時間,ウロキナーゼ添加フィブリン塊溶解時間,フィブリノゲン量,FDPは,全経過を通じて正常範囲内に維持され,異常出血は認められなかった.本症の術中止血管理にトラネキサム酸は有効,有用であった.本論文は先天性α2-PI欠乏症の麻酔管理としては世界初の報告である.
  • 成松 英智, 岩崎 寛, 栗原 知位子, 村木 真弓, 並木 昭義
    1993 年 13 巻 6 号 p. 581-584
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    36歳男性.バイクを運転中に鎖で前頸部を打撲した.前頸部の皮下気腫と嗄声から頸部気管断裂を疑い,閉鎖術が行なわれた.輪状軟骨を圧迫しながらの挿管操作により,気管チューブの先端が断裂孔から逸脱したが,圧迫の解除により再挿管は可能であった.右反回神経は完全に,また輪状軟骨と気管軟骨の間は不完全に断裂していた.大きな頸部気管断裂でも重篤な症状を示さない場合があり,また気管切開による気道確保が気管内挿管よりも安全な場合がある.
  • 桜本 千恵子, 後藤 文夫
    1993 年 13 巻 6 号 p. 585-588
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    要旨手術予定患者15人中9人に腸炎ビブリオによる食中毒が発症した.症状は水様性下痢,腹痛および発熱であった.週末に発生し,月曜早朝まで麻酔科当直医へ連絡がなかったため,対応と対処が遅れた.緊急事態発生時には病院管理部門の速やかな対応と緊急連絡システムの徹底が必要である.腸炎ビブリオは耐熱性溶血毒を産生し,その心臓毒性によりまれに死亡する例もあるので注意が必要である.手術予定患者に消化器症状が現われ,集団発生が疑われる場合はただちに便検査を行ない,緊急性のない手術は2日以上延期することが望ましい.
  • 山蔭 道明, 中野 悟, 岩崎 寛, 紅露 伸司, 並木 昭義
    1993 年 13 巻 6 号 p. 589-592
    発行日: 1993/11/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    術前・術中に使用したミダゾラムの作用を拮抗する目的でベンゾジアゼピン拮抗薬フルマゼニルを投与したところ,過換気症候群,緊張性痙攣およびミオクローヌスてんかんを示した症例を3例経験した.症例1は25歳の女性で,腋窩神経ブロックにて手術を施行後過換気症候群を呈した.症例2は脳挫傷による痙攣発作を既往にもつ66歳の男性で,全身麻酔下で手術を施行後緊張性痙攣を引き起こした.症例3はダウン症侯群とミオクローヌスてんかんを既往にもつ11歳の女児で,全身麻酔下で検査を施行後ミオクローヌスてんかんを引き起こした.フルマゼニルの投与は対象を考慮して慎重に行なうべきであり,特に痙攣やてんかんを既往にもつ患者に対してその使用にあたり十分に注意すべきであると思われる.
feedback
Top