Burn Indexが30以上の重度熱傷患者5名,計26回の手術症例において,体温低下の原因となる諸因子について検討した.麻酔導入時の体温と手術室退室時の体温との差を「体温変化(°C)」とした.体温変化と,Burn Index,麻酔時間,手術時間,出血量,輸血量,および手術時の露出体表面積との間には有意な相関関係を認めなかった.麻酔法に関しては,体温変化は笑気・酸素+ケタミン・ミダゾラム群(GO+KM群;n=16)で-0.80±0.30(平均±標準偏差)°C,笑気・酸素・イソフルレン群(GOI群;n=10)で-1.48±0.58°CでありGOI群がGO+KM群に比較して有意に低かった(P<0.01).体位に関しては,体温変化は仰臥位群(n=12)で-0.08±0.34°,腹臥位群(n=14)で-1.91±0.31°であり,腹臥位群が仰臥位群に比較して有意に低かった(P<0.005).重度熱傷患者の体温管理には,吸入麻酔薬よりもケタミンを併用した麻酔法が適切であり,さらに腹臥位手術の場合,手術開始までの時間をできるだけ短くするとともに,さらに積極的な加温方法の追加が必要である.
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