気管内挿管を必要とする予定手術全身麻酔症例3,698例を対象として,喉頭展開困難の出現頻度と,その予測法を検討した。甲状軟骨を圧迫しても披裂部が直視できない喉頭展開困難は3,698例中72例に認められ,全体の1.9% (95%信頼区間1.5~2.3%)を占めた。前歯間距離,頸部の前後屈角,下顎の後退度の3因子による喉頭展開困難の予測結果は,検出感度61.1%,検出特異度74.8%,陽性適中度4.6%であった。上記の3因子による喉頭展開困難の予測法は,従来の多因子の計測法に比べて予測力に遜色がなく,かつ容易に実施できることから,麻酔前に試みる価値があると考えられた。