心電図R-R間隔の周波数解析において,高周波成分は副交感神経活動の,低周波成分は交感神経と副交感神経の活動性の指標になるとされる。脊椎麻酔施行時に高位脊椎麻酔(<T4)となった青少年患者を若年者(15~19歳)と成人(20~24歳)それぞれ6名ずつに分け,この方法で解析を行ない,脊椎麻酔が心臓自律神経活動に及ぼす影響を調べた。脊麻中に若年者では4名がエフェドリンやアトロピンを必要としたが成人では必要としなかった。R-R間隔の周波数解析では,成人で高周波成分が増加し,若年者で高周波と低周波の成分はともに低下した。両群とも心臓自律神経活動のバランスは副交感神経優位の状態になったが,若年者の方がこの傾向が強く,年少者に脊麻を行なうときにはこの点に注意が必要と考えた。