1994 年 14 巻 1 号 p. 77-81
心肺蘇生中の終末呼気炭酸ガス濃度(ETco2)は蘇生の成否とよく相関し,また自己心拍再開の指標としても有用であるといわれているが臨床例での記録は少ない。われわれは,麻酔中の心停止例で自己心拍再開時のETco2および終末呼気酸素濃度(ETo2)をラマン散乱ガス分析器(RASCALTM)にて記録しえた。心臓マッサージ中のETco2は10~20mmHgであったが,自己心拍再開と同時に急激に約60mmHgまで上昇した。ETo2は蘇生中ほぼ100%であったが90%まで低下した。ETo2は心肺蘇生中の重炭酸ナトリウム投与等治療の影響を受けにくく,ETo2も自己心拍再開の有用なモニターとなりうると考えられた。