日本臨床麻酔学会誌
Online ISSN : 1349-9149
Print ISSN : 0285-4945
ISSN-L : 0285-4945
急性痛のメカニズム
横田 敏勝
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 14 巻 3 号 p. 181-189

詳細
抄録
傷害に対する組織反応は,急性炎症の第1相,白血球反応の第2相,修復過程の第3相に分けられる。第1相,第2相では,内因性発痛物質と発痛増強物質が痛みを生じる。第3相では再生神経線維の側芽が痛みの原因になる。Aδ侵害受容線維の伝達物質はグルタミン酸,C侵害受容線維の伝達物質はグルタミン酸とニューロペプチド(P物質等)である。C侵害受容線維の興奮頻度が高まると,NMDA受容体を介する反応が加わって,2次ニューロンの反応性が高まる。この状態が続くと,ニューロン細胞体のCa2+濃度が上昇して,一酸化窒素合成酵素が活性化され,前初期遺伝子の発現が誘導される。これが引き金になって蛋白質の合成が始まる。
著者関連情報
© 日本臨床麻酔学会
次の記事
feedback
Top