1995 年 15 巻 3 号 p. 210-214
偶発的硬膜穿刺の直後に施行した自己血硬膜外注入法(EBP)の効果を検討した。17GのH型針で硬膜穿刺となった122例を,直後にEBPを施行した群(EBP群)と,施行しない群(非EBP群)の2群に分けた。頭痛発症率はEBP群25.9%,非EBP群34.4%で有意差はなかった。後日EBPが必要となった割合は頭痛発症例のうちEBP群20.0%,非EBP群72.7%と,EBP群で低率であった。EBP群では頭痛持続期間が2.5日,非EBP群で4.9日とEBP群で有意に短かった。以上から,硬膜穿刺直後にEBPを行なっても頭痛発症率は低下しないが,重症例は減少すると結論された。