1991年1月から1992年12月までの2年間に管理した腎機能障害合併心臓手術27例を対象に,術前腎機能障害の重症度によりクレアチニン・クリアランス(Ccr) 20ml/分以下(A群12例)と20<Ccr≦50ml/分(B群15例)の2群に分けて周術期管理,術後合併症,転帰を比較検討した。A群はB群に比べ体外循環中の限外濾過使用,術後の血液浄化法の使用率が有意に高かった。A群の死亡例は5例(42%)あり,うち4例は術前NYHAIV度で死亡原因は全例多臓器不全であった。B群は,腎保護薬のみで急性期を管理できた。B群の死亡例は2例(13%)で,いずれも直接腎機能障害に起因したものではなかった。