抄録
内頸動脈と冠動脈の同時血行再建術2例の麻酔管理を経験した.2例とも酸素-笑気-イソフルランーフェンタニールで麻酔を維持し,術中は脳波を監視した.うち1例の頸部剥離操作時に急激な血圧低下・徐脈と不整脈が発生し頸動脈洞症候群が強く疑われ,メピバカインで術野をブロックすることで対処できた.術後頸部創処置時にも同様な循環変動のエピソードがあった.その後のシンチグラムで脳血流欠損が指摘されたが,これは術中脳波上発見できていなかった.
内頸動脈・冠動脈同時手術の麻酔管理においては,頸動脈洞反射への配慮と適切な脳循環監視が不可欠であると考えられた.