平成元年1月から平成6年5月までに,静脈注射や採血時などに注射針による神経損傷が原因で発生したと考えられる疼痛および知覚障害を主訴として当院ペインクリニック科を受診した患者6例について調査,検討した.穿刺部位では手関節橈側,肘関節屈側,示指部であった.症状としては火傷様疼痛,しびれ,冷感などを訴えhypesthesia, allodyniaなどの知覚障害が認められた.神経損傷によるinjury dischargeや炎症による侵害刺激伝播を抑制するため,損傷部への局所麻酔薬浸潤や抗炎症薬が有用であった.医療従事者へ対する患者の不満も痛みを長引かせる重要な因子であり,発生直後からの適切な対処が必要であると思われた.