抄録
Shy-Drager症候群患者では起立性低血圧など自律神経系の失調を伴い,手術・麻酔に際しては麻酔法,昇圧薬の選択などを含め,細心の循環管理が必要である.今回Shy-Drager症候群患者に対する二度の手術(膀胱および舌)に,それぞれ脊椎麻酔と全身麻酔を行なった.脊椎麻酔では局所麻酔薬をクモ膜下腔に投与後,収縮期血圧が30mmHg低下したが,輸液とエチレフリンで対処できた.全身麻酔はミダゾラムで導入し,亜酸化窒素-イソフルランで維持した.ドパミンの持続投与により術中の循環動態に大きな変動はなかった.