抄録
周術期の低酸素血症は術後の多くの合併症の結果であると同時にまたその原因ともなっており,その対策は術後合併症を防ぐうえで重要な意味をもつ.術直後から早期にみられる低酸素血症については,これまで多くの研究がなされており,その予防,治療法もある程度確立している.しかし,最近術後数日を経て患者が一般病棟に移され,回復期に入ったとみなされる時期の夜間にREM睡眠の消失とreboundを伴う睡眠パターンの異常とともに,著しい低酸素血症が反復して起こることが報告されている.この新しいタイプの術後低酸素血症が心筋梗塞,術後誰妄など重篤な合併症との密接な関連でその重要性が指摘されている.