日本臨床麻酔学会誌
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プロポフォールが副伝導路の順行性伝導速度を抑制したと考えられる間欠性Wolff-Parkinson-White症候群の一症例
譜久山 寛瀬戸 篤新島 邦行竹中 伊知郎門屋 辰男
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2000 年 20 巻 3 号 p. 184-187

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抄録
間欠性Wolff-Parkinson-White(WPW)症候群患者の大腿瘢痕形成術の麻酔を経験した.搬入時の心電図は正常波形であった.麻酔維持は酸素,亜酸化窒素,セボフルランで行なった.手術終了間際セボフルラン濃度を低下させたところ,突然WPW波形が出現したので,麻酔深度増強目的でプロポフォールを投与した.すると,すみやかにWPW波形は消失した.数分後,手術終了に伴い吸入麻酔を中止したところ,再度WPW波形が出現した.そこで,プロポフォールの一回投与に続いて持続投与を開始した.波形はすみやかに正常化し,その濃度を段階的に低下させ覚醒させた.以後,WPW波形の出現はなかった.本症例より,プロポフォールが間欠性WPW症候群の副伝導路の順行性伝導速度を抑制する可能性が示唆された.
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