日本臨床麻酔学会誌
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プロポフォールによる長期間の間歇的反復投与が食道癌術後患者の血中脂質と細胞性免疫に与える影響
丹野 英大江 恭司布宮 伸村田 克介大竹 一栄窪田 達也
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2000 年 20 巻 7 号 p. 449-453

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抄録

人工呼吸管理下の患者に,プロポフォールを夜間のみの鎮静目的で使用した際の血中脂質代謝と細胞性免疫に与える影響について検討した.食道癌術後患者を対象とし,術後より7日間,午後10時から翌朝8時まで持続投与を行なった群(Prop群)とミダゾラム単回静注を適時行なった群(non-Prop群)に分け,術後1,3,7日目の血中脂質,Con A活性,NK活性を測定したところ,Prop群でnon-Prop群に比してHDL-コレステロールの有意な減少及びNK活性の有意な上昇を認めたが,Con A活性には有意な変化を認めなかった.Prop群でのプロポフォールの平均投与量は1.9±0.5mg・kg-1•h-1であった.プロポフォールによる鎮静は細胞性免疫を抑制することはないが,夜間のみの間歇的投与であっても7日間以上のプロポフォールの使用は低HDL血症から高脂血症に陥る可能性が示唆された.

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