日本臨床麻酔学会誌
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気管挿管時の循環反応に対するジルチアゼムとニカルジピンの作用
BISを指標としたプロポフォール鎮静下において
磯山 裕子尾崎 眞森岡 宣伊松川 隆鈴木 英弘
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2000 年 20 巻 7 号 p. 454-459

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抄録

Bispectral Index(BIS)を指標にして,プロポフォールによる鎮静を十分に深いレベルに保ったうえで,気管挿管時の血圧上昇と頻脈を抑える目的で,ジルチアゼム及びニカルジピン投与の効果を比較検討した.婦人科予定手術62症例をプロポフォール(P),プロポフォール+ジルチアゼム(P+D),プロポフォール+ニカルジピン(P+N)の3群に無作為に分類し,BISを挿管時40以下に維持して入室から挿管10分後までの平均血圧,心拍数を比較した.平均血圧は挿管により直前の値に対して3群とも有意に上昇したが,上昇の度合いはP群に比べてP+D,P+N群で有意に抑制された.心拍数はP群と比較してP+D,P+N群で有意に上昇した.プロポフォールにより十分な鎮静状態にある場合,挿管による交感神経刺激反応を抑制するためのジルチアゼムやニカルジピンの投与は,代償性の頻脈を強く引き起こす可能性があることが示唆された.

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