抄録
症例は日齢43日女児.臍静脈走行異常による先天性門脈-大静脈シャント(congenital portosystemic venous shunt; CPSVS)に対する開腹根治術の麻酔を経験した.本疾患では,門脈血が短絡血管により肝臓をバイパスして大静脈に流入するが,特に門脈系の発達が悪い症例は,一期的にこれを遮断すると急激な門脈圧上昇や循環虚脱等をきたす可能性がある.術中は観血的動脈圧,中心静脈圧に加え門脈圧をモニタしながら短絡血管を遮断した.幸い循環動態の変動は軽度かつ一過性で,術後経過も順調であった.術前の肝実質構造と門脈系の十分な発達評価および術中上記3圧の同時モニタが,遮断時の循環動態を的確に評価するうえで重要と考えられた.