日本臨床麻酔学会誌
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術中持続血液濾過により救命し得た大量出血の1例
藤林 哲男安田 善一鈴木 久人森 芳映江口 広毅福田 悟
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2001 年 21 巻 9 号 p. 437-442

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抄録

術中予期せぬ大量:出血(4,500g)に対する急速輸液で高度血液希釈(Hb2g•dl-1以下)を呈した症例を持続血液濾過により管理した.腎移植後に総腸骨静脈血栓症を生じ,局麻下に大腿より血栓除去が開始された.患者が腹痛と腹部膨満を訴え,血圧低下を認めたため,下大静脈損傷を疑い麻酔科医による管理となった.進行する腹腔内出血のため準備血なしで開腹止血術が開始された.開腹時に出血量4,500gを認め,急速輸液(6,000ml)により血圧を維持し得たが,Hbは測定不能の2g•dl-1以下となった.この時点で輸血が届き持続血液濾過を用いた血液濃縮を試行し,動脈血液ガスの悪化やアシドーシスを認めず無事手術を終了した.大量出血に対する急速輸液が原因の高度血液希釈に対し,術中持続血液濾過の有用性が示唆された.

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