腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した36名の患者で,手術時の循環動態,覚醒状況,術後鎮痛,副作用ならびに患者の満足度を,3種類の麻酔法で比較した.麻酔法は,プロポフォール+フェンタニル群(PF群),プロポフォール+硬膜外麻酔群(PE群)ならびにセボフルラン麻酔群(S群)とした.PE群では,術直後より0.25%ブピバカインの硬膜外持続投与(4ml・hr
-1)を開始した.覚醒までの時間はPF群とPE群がS群よりも短かった.術後のVASは術後24時間値でPE群が他の2群と比較して良好であった.術後の悪心・嘔吐は,覚醒直後でPF群およびPE群で嘔気を訴えた患者は認められなかったが,S群では58.3%でみられ,他群に比較して有意に多かった.硬膜外麻酔を併用したPE群では,「満足している」と答えた患者が83.3%を占めた.また,全身麻酔単独のPF群およびS群では,「やや不満である」と答えた患者がともに41.7%を占めた.満足度は3群間それぞれに有意差を認め,特にPE群とS群の患者に有意差(p=0.012)があった.PF群は,S群に比較して覚醒の質は優れていたが,PE群ほどの患者の満足度および術後鎮痛効果は得られなかった.
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