日本臨床麻酔学会誌
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大量フェンタニール•酸素麻酔導入時の意識残存とその対策
渡辺 明彦並木 昭義氏家 良人高橋 長雄
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1986 年 6 巻 1 号 p. 87-91

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抄録

大量フェンタニール麻酔 (100μg/kg) 導入時の意識残存の有無を心血管手術予定の成人男女36名を5群に分け, isolated forearm technique を用いて検討した. 前投薬はI~III群でモルヒネとスコポラミン, IV群でヒドロキシジンとスコポラミン, V群ではそれに塩酸ペチジンを併用した. また, 麻酔導入にはII群でジアゼパム, III群では笑気を併用した. その結果, IV, V群では適度の鎮静状態が得られ, 命令に対する反応はI群で100μg/kgでも11例中7例に認め, II群で75μg/kg, III群で50μg/kgまで認めたが, IV, V群では25μg/kgで1例も認めなかった. I~III群で頻脈•血圧低下•筋強直の発生頻度が高かった. 大量フェンタニールで麻酔を導入する際に意識を完全かつ円滑に消失させる為には, 適切な前投薬による十分な鎮静が必要である.

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