ASA1-2の定時手術を予定された小児を対象に, 前投薬としてのアトロピンの投与方法の違いによる効果の違いを調べた. 投与したアトロピンは, 処方, 調剤, 投与を簡略化する為に, 注射用アトロピンを用いた. 経口投与群 (平均0.036mg/kg) は筋注群 (平均0.017mg/kg) と同程度の咽喉頭部分泌物抑制作用があり, 非投与群と比較すると, 明らかな分泌抑制効果を認めた. また, 挿管操作時の有害反射の発生や, 異常な体温上昇もみられず, 小児に対する精神愛護の面からも注射用アトロピンの経口投与は, 有用な投与方法であると考えられた.