日本臨床細胞学会雑誌
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特集 <子宮内膜細胞診における診断精度向上への新しい挑戦>
内膜の多様性と診断のピットフォール
—細胞学的な立場からみる組織像—
桜井 孝規清水 恵子小椋 聖子則松 良明
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2008 年 47 巻 3 号 p. 222-226

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抄録

内膜増殖症や類内膜癌の組織診断においては, 腺管の増殖, すなわち腺管密度の増加の有無と細胞異型の有無の判断が診断の重要な構成要素になっている.
組織での腺管増殖は細胞診での構造の多彩さとほぼ比例しているが, 生理的あるいは良性病態でも出現しうる内膜腺の多彩さを知らないと, 過剰診断に至る可能性がある. ここでは分泌期の腺管形態や内膜炎, 子宮筋腫, ポリープ, ホルモン剤投与時などにみられる腺管形態の幅を提示するが, 異常腺管の出現量と割合が重要であることがわかる.
また異型増殖症, 類内膜癌の診断でしばしば強調される細胞異型の有無については, 増殖症における細胞異型の判断は, 診断者間一致率があまりよくないことで知られている. これは増殖症や類内膜癌でみられる細胞異型が往々にして軽いことに起因するが, だからこそ構造的な異常の把握が必須になっている. もちろん細胞異型が強ければ診断が容易になるのは間違いないので, 細胞異型の把握も非常に重要である. ところが, 内膜細胞には腫瘍だけではなく, 本来は良性病態である種々の化生/変性でも, 時に癌と紛らわしい異型をみることがあり, そのような異型の出現パターンや臨床上の特徴を把握することも誤診を避けるためには重要である. ここでは無排卵性月経でみられる細胞変化を提示するが, このような変化は増殖症や癌に伴って出現することもあり, 過剰評価は避けるべきではあるが背景の所見にも気をつけないと, 過小評価してしまう危険性もまた存在する.

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© 2008 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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