日本臨床細胞学会雑誌
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原著
Primary effusion lymphoma 6 例の細胞学的検討
相川 映美子河原 明彦大久保 文彦加留部 謙之輔大島 孝一鹿毛 政義
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2008 年 47 巻 4 号 p. 275-281

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抄録

目的: 体腔液貯留を主症状とする Primary effusion lymphoma (PEL) の細胞学的特徴を明らかにし, 節性悪性リンパ腫および体腔液中に播種した悪性リンパ腫との相違点を検討した.
方法: 2003∼2008 年に当院で PEL と診断された 6 例において, 細胞形態の観察, 核計測, 免疫細胞化学, 分子病理学的検索を行った. さらに, PEL と節性悪性リンパ腫および体腔液中に播種した悪性リンパ腫とを比較した.
成績: PEL の細胞学的特徴は, centroblast 様の細胞を主体とした. 小型核の PEL 症例はバーキットリンパ腫様細胞を認め, 大型核の PEL 症例は未分化な細胞を認めた. 免疫細胞化学の結果, すべての症例で, 腫瘍細胞は CD20 と Multiple Myeloma Oncogen 1 (MUM1) に発現を示し, CD30 の発現は認めなかった. また, ほとんどの症例で HHV8 感染, EBV 感染はみられず, PCR において B 細胞性の単クローン性が証明された.
結論: AIDS 関連の PEL と, そうでない本邦の PEL の細胞所見および免疫表現型は異なっていた. PEL と他のリンパ腫との細胞形態の違いを明確にすることは困難であったが, PEL は MUM1 発現が高率であるため, 両者を鑑別する有効なマーカーとなる可能性が示唆された.

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© 2008 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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