日本臨床細胞学会雑誌
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症例
高異型度尿路上皮癌との鑑別に苦慮したびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫の 1 例
竹中 美千穂佐藤 勝明寺内 利恵山下 学朝倉 善史中野 万里子黒瀬 望野島 孝之
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2008 年 47 巻 4 号 p. 296-300

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抄録
背景 : 尿中に悪性リンパ腫細胞が出現することはまれである. 今回, われわれは尿細胞診で尿路上皮癌細胞との鑑別に苦慮した膀胱に発生した悪性リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 75 歳, 女性. 発熱で入院中に, 膀胱および回盲部の腫瘍と腹腔内リンパ節腫大を指摘された. 膀胱鏡検査で左側後壁から底部にかけての隆起性病変を認め, 膀胱洗浄液細胞診では N/C 比が大きい異型細胞が孤在性に多数認められた. 異型細胞の核は, 中心性に位置し, 軽度の大小不同があり, 核形不整が目立ち, 微細顆粒状のクロマチンが増量し, 小型の核小体を複数有していた. 悪性リンパ腫を疑ったが, 一部に細胞間の結合性がうかがえ高異型度尿路上皮癌細胞も否定できなかったため, Giemsa 染色とセルブロックによる免疫染色を追加検討した. 膀胱生検組織では, 類円形核と淡明な細胞質をもつリンパ球の 2 倍以上の大きさの腫瘍細胞が密に浸潤性増殖していた. 免疫組織化学では, 腫瘍細胞は CD79αと CD20 が陽性, CD3 と上皮性マーカーが陰性で, びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫と診断された.
結論 : 尿検体においても, 悪性リンパ腫の細胞診断における尿路上皮癌細胞との鑑別点としては, 細胞の単調性, 中心性に位置する核, 微細なクロマチン像の所見が有用であると再認識された.
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© 2008 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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