抄録
背景 : 分泌型類内膜腺癌を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
症例 : 患者は 76 歳. 不正性器出血を主訴に当院を受診した. MRI の結果では子宮体部∼底部にかけて約 12 mm の肥厚が認められた. 子宮内膜細胞診, 内膜生検組織診の結果はそれぞれ, 腺癌と診断され子宮全摘術が施行された. これらの細胞像は, 腫瘍性背景に大小の樹枝状, 乳頭状集団が出現していた. 集団を構成する細胞は核偏在, 切れ込み・くびれに乏しい類円形核, 微細顆粒状に増量するクロマチン, 細胞質は大小の空胞を有していた. 組織学的に腫瘍細胞は分泌期内膜に類似した高円柱状細胞で構成され, その基底側には核下空胞が観察された. 核下空胞は PAS 反応 (+), ジアスターゼ消化試験 (+), アルシアンブルー (−). 免疫組織学的には, p53 (+) ; ER (+) ; vimentin (−, 部分的に弱陽性) ; PgR (−) ; HNF-1β (−) を呈していた.
結論 : 本症例においては, 細胞集団, 核, 細胞質のそれぞれに特徴のある所見が観察された. また, 鑑別診断には明細胞腺癌および粘液性腺癌が挙げられるが, 本腫瘍が類内膜腺癌の亜型であることに由来した樹枝状細胞集団の出現および細胞質内空胞に留意することが重要と考えられた.