抄録
目的 : 乳癌センチネルリンパ節 (SLN) の術中細胞診において, Diff-Quik 染色を用いた多割面捺印標本の診断精度と有用性, 腫瘍径・組織型と転移の関連性について検討した.
方法 : 対象は Diff-Quik 染色で SLN の術中細胞診を施行した乳癌 225 例で, 一割面 (半割, 135 例) および多割面捺印標本 (90 例) による結果を術後の組織診断と比較した. また, 腫瘍径と組織型による SLN 転移の陽性率についても検討した.
成績 : 一割面捺印標本では, 組織学的に転移のあった 38 例中 8 例が細胞診で偽陰性であった (特異度 92.3%, 感度 78.9%, 正診率 94.1%).
8 例の転移は径 2 mm 以下で, うち 6 例は顕微鏡的転移であった. 一方, 多割面捺印標本の転移例 15 例はすべて診断できた (特異度, 感度, 正診率ともに 100%). 15 例中 8 例は径 2 mm 以下の微小転移で, うち 2 例は顕微鏡的転移であった. 腫瘍径・組織型と転移に明らかな相関はみられなかったが, 浸潤性小葉癌と微小乳頭癌は小さな腫瘍でも転移がみられた.
結論 : 乳癌 SLN の術中細胞診には, 簡便かつ短時間で行える Diff-Quik 染色による多割面捺印標本が有用と考えられた.