抄録
目的 : 診断しやすい胆汁標本作製のため, 胆嚢の擦過細胞を用いて核形態の正確な経時的変化を調べ, それに対する各種保存液の有効性を検討した.
方法 : 胆嚢結石症 15 例の摘出胆嚢壁の擦過細胞を胆嚢内胆汁と保存液との等量混合液に加え, 5 分間, 1 時間, 4 時間, 8 時間, 24 時間, 48 時間室温で放置した. 遠心後の沈渣を Papanicolaou 染色標本とした. 用いた保存液は生理食塩液, 20%ウシ血清アルブミン液, RPMI1640 培地, 50%エタノール液, CytoRich 液および YM 液である. 無添加の胆汁を対照とした. 核の形態変化と染色性を観察した.
成績 : 擦過細胞は無添加の胆汁に加えた直後に強い核の円形化, 縮小および濃染を示し, 4 時間後に最強となった. これに対し CytoRich 液または YM 液を添加した場合, 24 時間後までこれらの変化は軽度で, 73%以上の高い核染色性保存率を保持することができた.
結論 : CytoRich 液または YM 液は胆汁中の擦過細胞の核形態の保持に最も高い効果を示した. 貯留胆汁中の剥離細胞に対しても, これらの保存液を胆汁採取後できるだけ速やかに添加することで大幅な核の形態変化の軽減が可能と考えられた.