日本臨床細胞学会雑誌
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症例
超音波内視鏡穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)が有用であった十二指腸カルチノイド腫瘍の 1 例
米田 操小塚 裕司今井 裕柴原 亜希子北山 美佳内田 克典白石 泰三
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2009 年 48 巻 5 号 p. 285-289

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抄録

背景 : 十二指腸・膵頭部領域にカルチノイド腫瘍が認められることは比較的まれである. Endoscopic ultrasound guided fine needle aspiration (以下 EUS-FNA) 時の Diff-Quik 染色が診断に有用であったカルチノイド腫瘍を経験したので報告する.
症例 : 60 歳代, 男性. 悪心, 嘔吐を主訴とし腹部超音波検査において十二指腸粘膜下・膵頭部領域に約 18 mm の円形腫瘤を認めた. 2 回の上部消化管の内視鏡検査では異常を指摘されなかった. EUS-FNA 時における Diff-Quik 染色の細胞所見では, クロマチンの増量したごましお状の核, ロゼット形成, 2 核・3 核細胞が認められ, カルチノイド腫瘍の疑いとされた. Pap 染色においても同様の所見であった. セルブロックでは, 異型細胞に核内封入体を認め, 免疫染色で CD56 陽性, synaptophysin 陽性となりカルチノイド腫瘍と確定診断した. 血中腫瘍マーカー, 内分泌ホルモンの上昇は認めなかった. 摘出標本では, 胞巣状配列を示し, 脈管浸潤, リンパ節転移, 核内封入体が認められた. 免疫染色では, セルブロックと同様に CD56 陽性, synaptophysin 陽性であった.
結論 : EUS-FNA 時における Diff-Quik 染色の迅速診断は, カルチノイド腫瘍の細胞診断に有用と考えられた.

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© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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