日本臨床細胞学会雑誌
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症例
細胞診が術前診断に有用であった膵管内乳頭粘液性腫瘍由来の浸潤癌の 1 例
稲山 拓司丸山 香代子阿部 健一郎猪野 晋慶原 繁一伊古田 勇人高橋 幸男諏訪 敏一
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2009 年 48 巻 5 号 p. 290-295

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抄録
背景 : Intraductal papillary mucinous neoplasm (以下 IPMN) 由来の浸潤癌については, 通常の浸潤性膵管癌と同様で予後は悪いとされているため, 早期診断が重要であり, 早期診断における細胞診の有用性が報告されている. 術前の組織診断は困難であったが, 十二指腸浸潤部の粘液吸引細胞診で癌細胞を検出しえた膵管内腫瘍由来の浸潤癌を経験したので報告する.
症例 : 63 歳男性, 食欲不振を主訴に来院された. 腹部 MRI にて, 膵頭部に内部の乳頭状構造をみる嚢胞性腫瘤が認められた. 内視鏡にて, 十二指腸粘膜に粘液分泌性の腫瘍の直接浸潤部が認められた. 同部位より細胞診と組織生検が行われ, 粘液の吸引細胞診では, さまざまな大きさの乳頭状やシート状の集塊が認められた. これらの良性細胞以外に, クロマチンの増加した核と粘液を欠いた細胞質からなる高 N/C 比の異型細胞が不規則重積性の集塊で認められ腺癌と診断した. 生検材料からは, 良性の範囲内の乳頭状増殖性病変しか認められなかった. 膵癌の臨床診断で, 膵頭十二指腸切除術が施行された. 手術検体では, 腫瘍の大部分は intraductal papillary mucinous adenoma (以下 IPMA) に相当していた. しかし一部では IPMA に連続した管状腺癌が認められ, これが十二指腸に直接浸潤して, その内腔に露出していた.
結論 : 組織生検で癌細胞を検出することができず, 細胞診だけが術前に IPMN 由来の浸潤癌の確定診断をもたらした症例であった.
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© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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