抄録
背景 : 比較的まれな乳腺顆粒細胞腫の 1 例について捺印細胞診を行ったので報告する.
症例 : 患者は 52 歳女性で, 右乳房 AC 領域に腫瘤を自覚した. 画像所見より浸潤性乳管癌を疑い, 針生検を施行した. 顆粒細胞腫の診断のもとに, 乳房部分切除術を行った. 捺印細胞診では, 腫瘍細胞の多くが裸核状であったが, 孤在性, 結合性の緩い平面的な小集塊としても散見された. 個々の腫瘍細胞は, 細胞境界が不明瞭で, 細胞質内にはライトグリーンまたはオレンジ G 好性の微細な顆粒が充満し, その顆粒は背景にも多数飛散していた. 核は類円形∼楕円形で大小不同を示し, 微細なクロマチンと小型核小体を単個認め, 核内細胞質封入体は腫瘍細胞の 1.1%にみられた. 組織学的には, 好酸性顆粒状の豊富な細胞質をもつ腫瘍細胞が索状, 小胞巣状に増殖していた. 免疫組織化学的には, 腫瘍細胞は S-100 蛋白, NSE, CD68 に陽性であった. 以上より, 顆粒細胞種と診断された.
結論 : 乳腺顆粒細胞腫では, 顆粒状で脆弱な細胞質に加え, 核内細胞質封入体の出現も本例腫瘍の細胞学的特徴であった.