日本臨床細胞学会雑誌
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症例
嚢胞を伴った胸腺乳頭状腺癌の 1 例
川畑 圭子原 明吉見 直己
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2010 年 49 巻 1 号 p. 30-35

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抄録
背景 : 胸腺腫瘍の大部分は胸腺腫で, 胸腺癌は 10∼25%とされる. また, 胸腺癌のなかでは, 扁平上皮癌がほとんどを占め腺癌はきわめてまれである. 今回,嚢胞を伴った胸腺乳頭状腺癌を経験したので報告する.
症例 : 68 歳, 女性. 検診にて右中肺野異常陰影を指摘された. CT で前縦隔右側に突出するように 5 cm 大の嚢胞性病変を認め,嚢胞壁の一部に充実性腫瘤を認めた.嚢胞摘出術を施行. 術中の嚢胞内容液の穿刺吸引細胞診では, 出血性背景に炎症性細胞を散見するなか, 数個∼十数個の細胞からなる小乳頭状集団を少量認めた. 細胞は小型で, 核クロマチンの増量は軽度, 小さな核小体を認めた. 全体的に異型は軽度で腺上皮系由来を思わせた. 組織診では, 胸腺嚢胞内の一部に結節病変を認め, Type A thymoma を伴った乳頭状腺癌と診断された.
結論 : 胸腺嚢胞の穿刺吸引細胞診は, 日常まれであるが, かかる症例の存在も考慮に入れておくべきと思われた.
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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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