日本臨床細胞学会雑誌
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症例
術前に大腸原発腫瘍が疑われた腹膜原発漿液性乳頭状癌の 1 例
安倍 秀幸山口 倫近藤 恵子村上 直孝孝冨士 喜久生鹿毛 政義
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2010 年 49 巻 1 号 p. 25-29

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抄録
背景 : 腹膜原発漿液性乳頭状癌 (primary serous papillary carcinoma of the peritoneum : PSCP) は組織学的に卵巣の漿液性乳頭状腺癌に類似する腹膜原発腫瘍である.
今回, 術前に大腸粘膜下腫瘍が疑われた PSCP の 1 例を術中腹水および捺印細胞診で経験したので報告する.
症例 : 78 歳, 女性. 腹部膨満感を主訴に来院. 精査にて下行結腸の狭窄を伴った粘膜下腫瘍と肝内に腫瘤を認め, 狭窄をきたした大腸粘膜下腫瘍に対して低位前方切除術を施行した. 開腹所見にて粘膜下腫瘤の子宮および卵巣への直接浸潤を認め, 子宮付属器が追加切除された. 術中腹腔洗浄細胞診および腫瘍捺印細胞診において, 腫瘍細胞は乳頭状集塊を形成し, 砂粒体を伴っていた. 摘出された大腸の肉眼像は大腸の漿膜から粘膜下にかけての腫瘤が主病変で, 両側卵巣は正常大であった. 大腸粘膜下の腫瘤は組織学的に卵巣の漿液性乳頭状腺癌に類似しており両側卵巣は正常大であったことから PSCP と診断した.
結論 : 臨床的に明らかな卵巣腫大を認めず腹水細胞診において漿液性乳頭状腺癌に類似した細胞所見がみられた場合は, PSCP も念頭に置き診断すべきである.
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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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