抄録
目的 : 貯留胆汁細胞診の正診率の向上を目的に, 多施設共同研究にて細胞判定基準を作成した.
方法 : 胆膵病変から得られた貯留胆汁細胞診標本上の任意の 38 の細胞集塊を対象に, 細胞判定時に重視した所見を抽出してその意義を検討し, 癌細胞の判定に寄与しうる所見を精選して判定基準を作成した.
成績 : 判定基準を以下のように定めた.
A の 3 項目あるいは B の 3 項目を満たした細胞を腺癌細胞と判定することができる. C および D は参考所見として重視される.
A. 細胞集塊の判定基準
1. 不規則な重積性
2. 核の配列不整
3. 集塊辺縁の凹凸不整
B. 個々の細胞の判定基準
1. 核の腫大
2. 核形不整
3. クロマチンの異常
C. その他の重視される所見
1. 壊死背景
2. 多彩な細胞集塊 (単個∼集塊) の出現
D. 注意すべき点
1. 1 ヵ所の異常のみを取り上げないこと
2. 核内構造の判定 : 長時間放置などによる細胞形態変化があっても, 核内構造がみえれば判定することは可能
3. 良性細胞集塊の参考所見 : (1)核間距離均等, (2)集塊辺縁の周囲に細胞質がみられる
結論 : 本判定基準を貯留胆汁細胞診の判定に利用することで, 正診率の向上が期待された.