抄録
目的 : 当院では, 甲状腺穿刺細胞診において従来法では検鏡に時間がかかり不適検体も多いことから, 液状処理細胞診 (以下 LBC) に移行したいと考えた. 併用期間を経て従来法から LBC に移行したので, その診断成績の推移について述べる. また, 外科切除甲状腺を使い, LBC と従来法の細胞像の比較検討を行ったので, 併せて報告する.
方法 : 従来法単独 634 例, 従来法・LBC 併用 93 例, LBC 単独 94 例の標本枚数, 不適検体率, 陽性率などを検討した. 外科切除された甲状腺 35 病変について, LBC と従来法の Pap 標本を作製し, 細胞像を比較検討した. LBC 標本は SurePath 用手法で作製した.
成績 : 従来法単独 634 例の標本枚数は 2∼10 枚 (平均 3.85 枚), 不適材料 79 例 (12.5%) で, LBC 単独 94 例の標本枚数は 1∼4 枚 (平均 1.3 枚), 不適材料 5 例 (5.3%) で, 標本枚数は約 3 分の 1 となり, 不適材料が半減した. 外科切除された甲状腺 35 病変の内訳は乳頭癌 14 例, 腺腫様甲状腺腫 8 例, バセドウ病 5 例, 濾胞腺腫 4 例, 濾胞癌 2 例, 橋本病 2 例で, LBC と従来法を比較して, 細胞像に大きな差異は認められなかった.
結論 : 従来法から LBC に移行することにより不適材料が減少し, 検鏡時間が大幅に短縮された. 外科材料の検討で, LBC と従来法の細胞像に大きな差はなかった. 甲状腺穿刺細胞診は従来法から LBC に変更することを推奨する.