日本臨床細胞学会雑誌
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症例
甲状腺異型腺腫 (atypical adenoma) の 2 例
—異型腺腫は本当に良性腫瘍か?—
橘 充弘橋本 裕美曽根 玉恵大石 直樹植野 辰雄元雄 良治
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2010 年 49 巻 3 号 p. 190-195

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抄録
背景 : 甲状腺異型腺腫は, 細胞異型が強いまれな濾胞腺腫の 1 亜型とされている. われわれは細胞診で診断に苦慮した異型腺腫の 2 例を報告し, 腫瘍細胞本来の性格について考察する.
症例 : 症例 1 は 72 歳, 女性の 4 cm 大の甲状腺左葉腫瘤. 術前穿刺吸引細胞診で, 核腫大, 核大小不同が強く, 好酸性顆粒状の豊かな細胞質をもつ異型細胞が多数出現していた. 「Class 4. 悪性の疑い」と推定診断をした. 症例 2 は 38 歳, 女性の 7.5 cm 大の甲状腺右葉腫瘤. 術前穿刺吸引細胞診所見では, 細胞採取量が少なかったものの多型核をもち好酸性細胞質を有する異型細胞が出現していた. 「Class 3. 好酸性腺腫疑い」との推定診断を下した. 症例 1, 2 ともに甲状腺半切除術検体の組織診で異型腺腫と診断し, 免疫組織化学的に, 腫瘍細胞は TP53INP1, p53 陽性率が高率であった.
結論 : 異型の強い濾胞上皮細胞の出現を認めた場合, 臨床所見と照らし合わせながら細胞診断をすることが必要である. また, TP53INP1, p53 免疫染色結果から, 異型腺腫細胞が, 生物学的に癌細胞としての性格を有する可能性が示唆された.
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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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