日本臨床細胞学会雑誌
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症例
小児副腎皮質癌 5 例の検討
設楽 保江庄野 幸恵岩田 忠成福澤 龍二森川 征彦
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2010 年 49 巻 4 号 p. 254-261

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抄録

背景 : 非常にまれな小児副腎皮質癌の 5 例について検討した.
症例 : 症例は 4 歳女児, 2 歳男児, 4 歳女児, 9 歳女児, 7 歳女児. いずれもステロイド産生腫瘍で, 4 例で男性化徴候あるいはクッシング症状がみられた. 摘出腫瘍はそれぞれ 430 g, 65 g, 33 g, 52 g, 72 g, 割面は充実性で黄金色から赤褐色を呈し, 1 例で出血壊死,嚢胞形成がみられた.
捺印細胞所見 (4 例) は, ライトグリーンに濃染し, 核の偏在した好酸性顆粒を有する類円形の細胞が多数出現していた. 核クロマチンの増量, 核形不整, 核小体の著明化, N/C 比の増大などの異型性を認めた. 多核細胞や核濃縮細胞, 核内空胞もみられた. 異型が強く多形性に富む例や, 空胞状細胞の目立つ例があった. 組織所見も同様で, 核に大小不同, クロマチンの増量がある好酸性の腫瘍細胞が充実性に増殖していた. 免疫染色はサイトケラチン, ビメンチン, 神経内分泌抗原などが染まり, 症例により陽性所見が異なった. 電顕で副腎皮質由来の腫瘍細胞であることを確認した.
結論 : 5 例の肉眼所見, 組織所見, 各種免疫染色結果は, 統一性はあるもののさまざまで, 診断には注意を必要とする. 細胞診としては, N/C 比の高い細胞の存在に注意する必要がある.

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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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