日本臨床細胞学会雑誌
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特集 <細胞診はどこまで組織所見を捉えられるか—細胞像から組織構造を掴む—>
乳腺穿刺吸引細胞診における組織像の推定
津田 祥子北村 隆司伊達 由子瀧本 雅文九島 巳樹
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2010 年 49 巻 4 号 p. 274-282

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抄録
乳腺穿刺吸引細胞診断が容易でない要因としては, 良・悪性病変の組織形態が多彩で, 悪性病変と良性病変とで同じような組織構造がみられること, 異型の少ない乳癌例の存在などがあげられる. したがって, 類似した細胞像を呈する良・悪性病変の組織学的差異, 異型に乏しい乳癌の組織学的特徴を理解しておくことが重要である. また, 穿刺吸引細胞診は局所の組織像を反映したものであるため画像所見も参考にすると, より正確な診断を導くことが可能となる.
乳腺穿刺吸引細胞診断を行ううえで重要なことは, 個々の細胞異型の観察のみならず, 背景や細胞の出現パターンに注目することである.
背景所見は, 乳管内に由来するものと, 間質に由来するものに分けられ, 組織構築を考えるうえでの補助所見として有用である. 後者のうち円形裸核細胞と粘液腫様間質結合織は良性に多い所見といえる.
上皮細胞の出現パターンを, シート状, 管状, くさび状, 散在性, 大型集塊と大別することで, 増殖形態を整理して考えることができる. 低乳頭型非浸潤癌では, シート状で細胞異型が乏しくても, 低乳頭状突出像やクレーター様構造といった特定の構造異型に注目することで推定診断が可能となる.
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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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