日本臨床細胞学会雑誌
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症例
Abdominal wall endometriosis after cesarean section
Tomohito TANAKAYoshito TERAIMasahide OHMICHI
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2010 年 49 巻 5 号 p. 364-368

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抄録
背景 : 腹壁内子宮内膜症はまれな疾患であり, その診断は困難な場合が多い. 近年, 帝王切開既往のある女性の 0.03∼1%が帝王切開創部の腹壁内子宮内膜症を伴うと報告されている.
症例 : 26 歳女性, 子宮内膜症を疑う既往はない. 2 年前に施行された帝王切開術の瘢痕部から腹直筋内を臍高まで伸展する 15×3×3 cm の硬い腫瘍を認めた. 腫瘍は月経時に強い疼痛を伴った. 偽閉経療法を 6 ヵ月間受けたが, 月経が再開すると疼痛は軽減せず, 腫瘍も増大傾向を示した. 穿刺吸引細胞診では楕円形で細胞質に乏しく均一な円形の核を有する細胞からなるシート状の上皮細胞と出血性の背景に散在する間質細胞が多数認められた. これらの所見は子宮内膜の存在と悪性腫瘍の除外診断に有用であった. 腹壁内子宮内膜症の診断のもと断端に病変が残らないように広汎に腫瘍を摘出した. 術後 18 ヵ月で再発は認めていない.
結論 : 穿刺吸引細胞診は術前診断に有用であった. また本症例のような大きい腹壁内子宮内膜症では広汎な外科的切除が診断的, 治療的に有効であると考えられる.
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© 2010 The Japanese Society of Clinical Cytology
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