抄録
背景 : 副甲状腺癌の多くは高分化腺癌で腺腫との鑑別が問題になることが多い. きわめてまれな未分化型化を伴う副甲状腺癌を経験したので, その細胞像を報告する.
症例 : 70 歳, 男性. 検診で右肺の結節影を指摘され, CT で右肺の腫瘍と甲状腺右葉下極の背側に接する腫瘍が描出された. 生化学検査では血清 Ca, 血清 intact PTH が高値であった. 肺転移を伴う副甲状腺癌が疑われ, 腫瘍摘出術および甲状腺右葉切除術が施行された. 捺印細胞診で円形核を有する高分化型腺癌細胞と肉腫様で多形に富む未分化型細胞の 2 種類の細胞がみられ, 両者の移行像がみられた. 免疫染色では前者は PTH 陽性, p53 陰性, 後者は PTH 陰性, p53 陽性であった. 遺伝子解析の結果, 未分化型癌の部分にのみ p53 遺伝子の点突然変異が検出された. 術後, 血清 Ca, 血清 intact PTH ともに正常化した. 肺の結節影は術後著明に縮小した.
結論 : 未分化型化を伴う副甲状腺癌の細胞像の特徴として, 高分化型腺癌細胞と未分化癌細胞の 2 種類の細胞がみられ, 両者の移行を示唆する像が認められることがあげられる. 未分化型化には p53 遺伝子の点突然変異が関与していると推測される.