抄録
背景 : Solid neuroendocrine carcinoma は, 乳腺原発の神経内分泌腫瘍ではまれな 1 型である. 今回, われわれは乳腺に発生した solid neuroendorine carcinoma の 1 例における細胞学的および免疫細胞化学的所見について報告する.
症例 : 67 歳, 女性. 超音波検査で右乳腺 CD 領域に腫瘤性病変を指摘された. 本例の病変は, 針生検組織と摘出組織の組織学的および免疫組織化学的検査結果から, solid neuroendocrine carcinoma と診断され, 電顕的観察により神経内分泌顆粒が証明された. 穿刺吸引細胞診では, 小型で均一な比較的異型に乏しく, 偏在性の類円形核をもつ形質細胞様の特徴的な腫瘍細胞が多数認められた. 細胞転写法により得られた腫瘍細胞に対して免疫細胞化学的に検討したところ, ほとんどの腫瘍細胞は chromogranin A, synaptophysin, CD56, neuron-specific enolase に陽性を示し, 神経内分泌への分化が証明された.
結論 : 本例の solid neuroendocrine carcinoma では, 細胞転写法によって得られた腫瘍細胞に対する免疫細胞化学的検討が, その的確な細胞診断をする上できわめて有用であった.