日本臨床細胞学会雑誌
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症例
子宮内膜細胞診陽性で発見された卵巣外原発性腹膜癌の 1 例
野澤 明美上田 寛人金井 麻子下江 郁一井川 義英小松 良一
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2010 年 49 巻 6 号 p. 412-418

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抄録

背景 : 卵巣外原発性腹膜癌 (extraovarian primary peritoneal carcinoma : EOPPC) は, 腹膜に多発性の腫瘍を認めるが卵巣には全く悪性の病変を認めないか, あっても微少な病巣のみを認めるまれな疾患であり, その組織像は卵巣の漿液性乳頭状腺癌に類似している. 今回われわれは子宮内膜細胞診陽性がきっかけとなり発見された EOPPC の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 56 歳, 女性. 症状はなし. 人間ドックにて子宮頸部擦過細胞診で疑陽性となり, 精査目的に当科紹介となった. 子宮内膜細胞診で陽性, 内膜生検にて異型細胞塊を認め子宮体癌を疑い腹式子宮全摘, 両側付属器摘出, 骨盤内リンパ節郭清術を施行した. 病理組織標本では子宮内膜に悪性細胞は認められず左卵巣間膜に乳頭状に発育する腫瘍を認めた. 両側卵巣表層と子宮漿膜にも転移と思われる腫瘍細胞の小塊を認めた. 免疫学的染色より EOPPC と診断した.
結論 : 子宮頸部擦過細胞診および内膜細胞診に異常を認めた場合には EOPPC の可能性も念頭において診療に当たることが肝要と思われた.

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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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