日本臨床細胞学会雑誌
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症例
再発を繰り返した後, 広範な腺扁平上皮癌を呈した外陰 Paget 病の 1 例
齋藤 研祐松浦 祐介川越 俊典土岐 尚之蜂須賀 徹安田 浩
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2011 年 50 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

背景 : 外陰 Paget 病は表皮内黒色腫とともに非扁平上皮性上皮内癌に分類され, 下床癌を伴わなければ局所再発は認めるものの, 比較的予後良好な疾患である. 今回, 再発を繰り返し初回治療から 4 年 7 ヵ月目に広範な腺扁平上皮癌を呈した外陰 Paget 病の症例を経験したので報告する.
症例 : 75 歳, 女性. 2 経妊 2 経産. 難治性の外陰部掻痒感のため近医より当院皮膚科へ紹介受診となった. 生検の結果, 外陰 Paget 病と診断され, 外陰部局所切除術を施行された. 切除断端は陰性となったが, 外陰 Paget 病の再発を繰り返し, そのたびに局所切除術を施行した. 初回治療から 4 年 7 ヵ月目の 4 回目の再発時の病理診断で, 腺扁平上皮癌と診断された. 腟断端が陽性であったため当科紹介となり, 手術療法を施行した. しかし, 術後に骨盤腔内に再発をきたし, 放射線治療にも抵抗性で, 術後 8 ヵ月目に亡くなった. 腫瘍擦過細胞診では, 腫瘍細胞は腺癌様の明瞭な核小体を認め, また核は中心性で扁平上皮癌にも類似している所見であった.
結論 : 本症例のように外陰 Paget 病がほかの癌に変化した報告例は過去にないが, 局所再発をしばしば認めるため, 長期にわたる経過観察が必要である.

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© 2011 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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