日本臨床細胞学会雑誌
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症例
痛みを伴い急速増大した原発性乳腺血管肉腫の 1 例
土屋 恭子山本 陽一朗松原 美幸柳原 恵子飯田 信也芳賀 駿介内藤 善哉津川 浩一郎
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2011 年 50 巻 5 号 p. 295-300

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抄録

背景 : 乳腺原発の血管肉腫 (angiosarcoma ; AS) は乳癌を含む悪性腫瘍の 0.1%以下の頻度で, 非常にまれな疾患である. 今回われわれは, 痛みを伴い急速増大した乳腺 AS の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 40 歳, 女性. 1 年半前に右乳房の腫瘤を自覚. 最近 2∼3 ヵ月で腫瘤の急速増大と痛みを認めたため受診. 来院時, 右 AC 領域に約 7 cm 大の楕円形で弾性硬の腫瘤を触知し, 穿刺細胞診, 針生検が施行された. 細胞診では多量の血液中に大型の細胞集塊が認められた. 集塊を構成する細胞は紡錘形∼類円形を示し, 網目状の配列や腔の形成がみられ, 一部では印環細胞様構造も確認された. 針生検では異型細胞は CD31 (+), CD34 (+), Factor VIII (+) を示し, 血管内皮の性質を示すことが確認されたため, AS と診断した. 摘出された腫瘤は暗赤色, 72×55 mm 大で内部に出血を伴っており, 組織像は針生検と同様であり, 電顕所見も AS を支持する結果を得た.
結論 : 通常, 痛みを伴うことなく急速に増大するといわれる AS であるが, 本症例のように出血を転機にして痛みを伴いながら急速に増大することがある. またまれな腫瘍であるが悪性度のきわめて高い腫瘍であることから, 本症例のような定型像を参考に細胞診断を行うことが重要であると考える.

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