日本臨床細胞学会雑誌
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原著
肺癌検診喀痰細胞診で発見された末梢型肺扁平上皮癌の細胞像の検討
—中枢型肺扁平上皮癌と比較して—
田口 明美柴 光年田島 ひとみ早田 篤子桑原 竹一郎渋谷 潔中谷 行雄藤澤 武彦
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2012 年 51 巻 4 号 p. 248-255

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抄録

目的 : 肺癌検診喀痰細胞診で発見された末梢型肺扁平上皮癌の細胞像を明らかにするため, 中枢型肺扁平上皮癌との比較検討を行った.
方法 : 平成 7∼16 年度における当施設の喀痰集検受診者のうち, 喀痰細胞診が契機で発見された, 気管支鏡無所見の末梢型肺扁平上皮癌 22 例と気管支鏡有所見の中枢型肺扁平上皮癌 22 例を対象とした. 集細胞法による蓄痰標本 1 枚に出現した中等度異型以上の異型扁平上皮細胞および扁平上皮癌細胞の, 出現数・異型度・形状・染色性・変性について比較検討を行った.
成績 : 平成 7∼16 年度の喀痰集検の発見肺癌 156 例中 84 例は扁平上皮癌で, そのうち気管支鏡無所見の末梢型扁平上皮癌は 16%であった. 末梢型IA 期と中枢型早期癌表層型では癌を疑う異型上皮細胞の出現が少数で, 進行癌に比較し変性の程度が弱かった. また, 末梢型では中枢型に比較し, オレンジ G 好性円形異型細胞が優位に出現し, 細胞像の特徴の一つと考えられた.
結論 : 喀痰細胞診における末梢型肺扁平上皮癌の細胞像を検討した結果, 異型扁平上皮細胞のタイプ別出現様式が, 腫瘍の進行度, 発生部位 (中枢型・末梢型) 推定の一助となる可能性が示唆された.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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