目的 : 液状処理細胞診による子宮内膜細胞の出現状態とその細胞像の特徴を把握し, 有用性を検討した.
方法 : 液状処理を行った子宮内膜細胞診約 3500 検体を BD シュアパスTM法にて標本を作製し, 増殖期内膜∼類内膜腺癌までの細胞の出現状態とその細胞像を検討した.
成績 : 背景は清明で内膜腺細胞は孤立散在性にみられるものと, 土管状あるいはシート状集塊で出現していた. 内膜間質細胞は線維状集塊として観察され, 孤立散在性にみられることは少なかった. 異型内膜増殖症以上の症例では細胞異型, 細胞極性の異常 (核の飛び出し像) が観察された. 異なる採取器具による子宮内膜標本に施設間差はみられなかった.
結論 : 液状処理による子宮内膜の細胞像は, 背景に腺上皮が主体で出現し, 細胞集塊が上皮由来か間質由来かを観察することで病態の把握が可能であり, 有用な細胞診断方法と思われた.