日本臨床細胞学会雑誌
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原著
口腔白板症の病理組織学的および細胞学的検討
久山 佳代松本 敬孫 燕森川 美雪加藤 拓山本 浩嗣
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2013 年 52 巻 3 号 p. 181-185

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抄録

目的 : 口腔白板症の病理組織学的および細胞学的特徴を解析し, 興味ある知見が得られたので報告する.
方法 : 臨床診断名が口腔白板症で, 擦過細胞診断および病理組織学的確定診断が行われた 137 例について, 病理組織学的および細胞学的に検討を加えた.
成績 : 口腔白板症の病理組織学的内訳は, 過角化症が 75 例 (54.7%), 異形成が 44 例 (32.1%), 扁平上皮癌が 18 例 (13.1%) であった. 細胞学的に異形成は疑陽性が 45.5% (20 例/44 例), 扁平上皮癌は陽性が 16.7% (3 例/18 例) だったが疑陽性を併せると 77.8% (14 例/18 例) であった. 扁平上皮癌と確定診断された 18 例は, 病理組織学的に萎縮上皮型が 61.1% (11 例/18 例), 過角化上皮型が 16.7% (3 例/18 例), 疣贅性癌と孔道上皮癌がいずれも 11.1% (2 例/18 例) であった. 細胞学的にすべての症例に共通して細胞採取量が少なく, 角化型扁平上皮細胞の散見がみられた. 異形成や扁平上皮癌では, 弱拡大で細胞質の光輝性の亢進を伴う細胞を強拡大で確認すると, 核形不整やクロマチンの粗造化などの核異型が観察された.
結論 : 口腔白板症の細胞診の精度の向上のために, 多彩な病態と組織学的所見を理解し, 同時に採取技術の向上の努力が求められる.

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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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