日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
原著
良性胆管疾患術後の長期 PTCD チューブ留置例における胆汁細胞像
内藤 嘉紀河原 明彦多比良 朋希山口 知彦安倍 秀幸吉富 宗宏岡部 義信安元 真希子鹿毛 政義矢野 博久
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 52 巻 3 号 p. 186-192

詳細
抄録

目的 : 良性胆道疾患術後, 長期間 PTCD チューブを留置 (長期留置症例) した患者から採取された胆汁細胞像を検討した.
方法 : 長期留置 5 例の胆管洗浄液細胞診 12 検体を用いて, 「貯留胆汁細胞診の細胞判定基準」を参考に細胞評価を行った. PTCD チューブ留置直後ないしは留置後 6 時間以内に採取された胆管炎 5 例 (短期留置症例) と胆管癌 5 例からの細胞を対照として用いた.
成績 : 長期留置症例の胆管上皮の平均核面積は 24.8μm2であった. 核の大小不同は 4 検体 (33.3%) でみられ, 平均核面積は 29.8μm2であった. 一方, 核の大小不同が少ない 8 検体の平均核面積は 22.3μm2であり有意差を認めた (p<0.01). 長期留置症例は粘液背景に不規則な集塊が出現していた. 核の大小不同を伴った検体は不規則な集塊の出現に加え核形不整や核小体腫大を認めたが, 平均核面積は胆管癌例に比べ有意に小型で (p<0.01), また, 短期留置症例に比べ有意に大型であった (p<0.01).
結論 : 長期間 PTCD チューブ留置検体は, 「貯留胆汁細胞診の細胞判定基準」を参考に, 核配列, 核形や核小体などの状態を総合的に観察することで良性と判断することが可能である.

著者関連情報
© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top