日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
原著
頸部リンパ節ホジキンリンパ腫の細胞学的検討
池田 藍森 菊夫山崎 一樹小野 早苗高橋 勝美蛭田 道子吉田 京子浅野 重之
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 52 巻 3 号 p. 200-205

詳細
抄録

目的 : リンパ節ホジキンリンパ腫 (HL) を細胞学的に検討し, 組織学的亜型推定の可能性を検討した.
方法 : 頸部リンパ節ホジキンリンパ腫 (1995 年 1 月∼2010 年 1 月 : 9 例) を対象とした. 年齢は 19∼83 歳 (男性 6 人, 女性 3 人). 穿刺吸引細胞診 7 検体, 捺印細胞診 3 検体を用いた.
成績 : 陰性 ; 1 例, 疑陽性 ; 2 例, 陽性 ; 6 例であった. 陰性とした症例 1 は, 成熟リンパ球を背景に Hodgkin/Reed-Sternberg (HRS) 細胞がごく少数しか認められなかった. 疑陽性とした症例 2 では大型異型細胞はみられたが, 典型的な HRS 細胞が少数であった. また, 症例 3 では, 既往に腎細胞癌があり, その転移の有無に主眼をおいたため, HL の診断にはいたらなかった. 陽性とした 6 例の組織学的亜型の内訳は, 結節硬化型 (3 例), 混合細胞型 (2 例), リンパ球豊富型 (1 例) であった. なお, 各亜型に出現した細胞に有意差はみられなかったが, リンパ球の大きさや HRS 細胞の核数では亜型間に有意差が認められた.
結論 : 細胞診では十分な数のリンパ球と明確な HRS 細胞が出現していないと, 組織学的亜型推定は困難であるが, 背景のリンパ球の大きさや HRS 細胞の核数では亜型間に有意差がみられた.

著者関連情報
© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top