抄録
背景 : 神経内分泌腫瘍の一つである小細胞癌は全身各臓器に発生することが知られているが, 尿路系での発生は比較的まれである. 今回, 尿中に腫瘍細胞が出現した尿路原発の小細胞癌の 2 例を経験したので報告する.
症例 : 症例 1 は 70 歳代, 女性. 右背部痛を主訴に来院, 自然尿中に孤立散在性から一部に木目込み細工様配列を示す小集塊で出現する裸核状, 微細顆粒状のクロマチンを有する異型細胞を認めた. 症例 2 は 80 歳代, 男性. 無症候性肉眼的血尿にて来院し, 尿細胞診にて, 壊死性背景の中に小型で N/C 比が高く, 核形不整, クロマチン増量と光輝性核小体を有する異型細胞を認めた. 両症例とも組織学的には狭小な細胞質を有し, 濃染性の核を有する小型の腫瘍細胞が密在し, 小細胞癌と診断した.
結論 : 尿路系での小細胞癌の発生はまれであり, それらの報告もきわめて少ない. 要因として, 腫瘍細胞の特徴像に乏しいこともあげられる. しかし小細胞癌は予後の悪い腫瘍であり, 早期の発見, 治療が重要な症例である. 尿細胞診などでより早い段階で鑑別することができれば, 非常に有用なものとなる. 小細胞癌の正確な細胞像を理解し, 的確な診断をすることが肝要である.